馬装蹄師 若者離れ ―養成機関は定員割れ
https://www.agrinews.co.jp/p41515.html 馬の健康維持や走力発揮に欠かせないひづめを削り、保護する蹄鉄を管理する「装蹄師」を目指す
若者が年々減り、競馬や乗馬クラブの存続が懸念されている。国内唯一の養成機関、日本装削蹄
協会装蹄教育センターによると、近年は定員割れの状況が続く。
生産現場への影響も懸念され、関係者は危機感を強めている。
カンカンカン――。同センターには連日、10、20代の若者11人が蹄鉄を作る音が響く。1200度にも
達する火枦(ほど)と呼ばれる窯に鉄を入れて特殊なハンマーで打つ作業が続く。装蹄師になるには
装蹄技術の他、飼養管理、馬に関わる知識を1年かけて学ぶ。
卒業試験に合格すれば2級装蹄師の資格が得られ、競馬場に就職したりベテラン装蹄師に弟子入り
したりできる。指導級になると、年収数千万円を稼ぐ人も少なくない。
高収入が期待できる一方、競馬人気の低下や下積み期間の長さからセンターへの入校希望者数は減少。
応募が最も多かった1999年の70人に比べ近年は3分の1以下まで減り、定員割れが続く。同協会が
全国の馬の飼養頭数から割り出した適正な装蹄師の人数は500人程度。人数を維持するには、毎年
11人を新たに確保する必要がある。
ただ、途中でやめるケースを考慮すれば16人程度は必要で、同協会の楠瀬良特別参与は「優秀な人材の
確保が難しく、このままでは馬産業の根幹を揺るがしかねない」と危機感を持つ。管内に約700戸の繁殖
牝馬牧場を抱える北海道JAひだか東の岩本武美営農生産部長は「馬は脚やひづめの形がそれぞれ違い、
個体に応じた管理が常に必要となる。
装蹄師は欠かせない」と役割の重要性を指摘。「今後、職人技を持つ装蹄師が減り、足りなくなる恐れがある。
生産地にとって極めて重要な問題だ」と懸念する。神奈川県JA横浜の組合員で、横浜市で乗馬クラブを
経営する北井一彰さん(41)も、「人が爪を切るように馬も毎月、ひづめを削る必要がある」と言う。
65頭を管理し、毎月3人の装蹄師に来てもらっている。「装蹄師に適切に管理してもらえなければ、競技で
力を発揮できないし、馬の健康にも影響が出る」と、後継者不足を不安視する。